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プラットフォームはローカルなネットワークから始める

初期のマーケットプレイスの立ち上げ方法シリーズ。
僕達が創ったフリマアプリの「ラクマ(旧FRIL)」は当初は若い女性向けというセグメントを切ったスタートでした。

今でこそ、男性も含めて多様な出品者の方々が使ってくれていますが、どうしてプラットフォームの初期段階で若い女性に絞ったのかを、振り返りも含めて、もう少し掘り下げてみようと思います。

密度の高いネットワーク効果

フリマアプリを最初に作ろうと考えた時、当然ながら出品者と購入者をゼロから集めないといけない問題に直面しました。

そして、「誰でも何でも売れるプラットフォーム」というのは、「誰に対しても何を売ればいいのか分からないプラットフォーム」であるという禅問答に行き当たります。

なので、まず初めに特定のユーザーからなる小さい集団に受け入れられる価値を作り出す必要がありました。

フリマアプリにとって価値を生み出す瞬間はユーザーとの取引であり、小さいけれど密度が高く、活発なネットワークの方が、取引は増えて、大きな価値を生み出すと考えるようになったのです。

ローカルから始める

そして、FRILの初期は若い女性にフォーカスすることから始めることにしました。
これは「ブログやmixiを駆使して着なくなった服を売る」というインサイトに対して「出品や取引が複雑という」ペインを抱えていたのが若い女性が多く、出品者と意味のある繋がりから始めることが重要だと思ったからでした。
(実際にフリマアプリの販売カテゴリの4割弱がレディース、コスメです。)

特にFRILの場合は東京や地方で有名な「読者モデル」と「ファン読者」というローカルな繋がりが爆発的なドライブになりました。

ここでいうローカルとは地元という言葉の意味だけでなく、感覚的な表現です。
例えばUberのような地理的に近くにいるドライバーとの取引が重要なネットワークの場合は文字通りのローカル(地元)という表現なのに対し、
Facebookのような友人との交流ネットワークから始まる場合は同じ授業を履修しているハーバード大学の生徒同士(ユーザーの距離)であることが重要になります。

ある朝、起きると数千単位でDLがされている時は大抵が読者モデルの子の宣伝経由でした。
当時は読者モデルがファッション雑誌に載るために服を購入するものの、同じ服を別のファッション雑誌には着ていけないというジレンマを解決するために、読者向けにブログで売って次の服を買うという行為の代替えとして利用され出していたのです。

ユーザーがプラットフォームを定義する

反面、自分たちが苦労したのは女性向けのフリマアプリという認知から脱却することでした。

あるプラットフォームに特定タイプのユーザーが一定数集まると、それからは同じタイプのユーザーがどんどん入ってくるようになります。
つまりネットワークの成長はランダムではなく、新規ユーザーがそのプラットフォームに参加するかどうかは既存のユーザーの魅力(もしくは欠点)を見て決めていたのです。

そういうプラットフォーム(女性向けのファッション衣類を売買する)だというイメージが定着してしまうと、途中でどんなにイメージアップを図っても、どんな機能を追加しても、異なるタイプのユーザーを取り囲むのは難しくなります。

なので、ネットワークの拡大経路は、プラットフォームの設計初期に特に心がけておく必要があります。
あるプラットフォームを最初に使い始める人は、その先プラットフォームがどのような成長をたどるかに大きな影響を与えます。
運営側が、ネットワークのコミュニティーやカルチャーを一番コントロールできるのも、そのネットワークがまだ小さい時です。

この辺りはユーザーの質とのトレードオフもあり、タイミングも含めて難しい議論ですが、
自分たちの場合はPMFが確認でき、月次で一千万円ほどでもネットワークの流動性が見えた段階で、ネットワークを慎重に拡大するべきだったと思います。
(今のラクマは誰でも何でも売買することが可能です。)

 

次回はマーケットプレイスを離陸させるまでのニワトリとタマゴ問題をどう解決したかのエピソードも書こうと思います。