in ベンチャー, 日記

成功するマーケットプレイスを立ち上げるための5つの要素


ほぼ1年ぶりのブログ更新….。

マーケットプレイスのサービスは売り手がいなければ、買い手は去ってしまい、買い手がいなければ売り手は参加しないという、矛盾を抱えたサービスでもあります。

ありがたいことに「なんで女性だけのマーケットプレイスで始めたんですか?」「どうやって初期のユーザーを獲得したんですか?」といった質問を多く頂くことがあり、自分にとっての振り返りにもしつつ、続編として初期のマーケットプレイスの立ち上げについて書こうと思います。

正しい市場を選択する

前回も書きましたが、実は初期の構想としては「物を売買するマーケットプレイスアプリ」という構想自体は変わらないものの、ユーザーインタビューを重ねて小さくpivotをしました。

最初の着想はピッチの資料にもあったような「誰でも何でも売れる、マッチングは場所によって行われる」というコンセプトで始めたものの、
そもそも「誰でも何でも」という時点で一人の消費者のニーズや欲求にフォーカスできておらず、更に近いエリアにいないとマッチングできないという時点で早くも最初のコンセプトは無理があると感じました。

結局、若い女性向けのフリマアプリにすることに決めたのですが、
振り返ってみるとマーケットプレイスの市場選択が正しい形でスタートしており、ポイントは以下の5つだったと思います。

1. 新しいユーザー体験

良いマーケットプレイスは、単純に場を提供するだけではありません。
そのマーケットプレイスが存在する前までは不可能だったユーザー体験を提供します。

FRILは従来のマーケットプレイスとは違い、アプリのカメラで写真を撮ることで出品できるというUIを創りだしました。FRIL以前はPCであれば画像を取り込む、ガラケーであれば画像をメールに添付する、スマホであればmixiやブログで商品を投稿するといった作業が必要でした。

出品という物の売買において最も煩雑な部分で、既存のプロダクトより10倍良いユーザー体験を作り出せたことで、新しいユーザーにWOW(感嘆)を届けることができました。「WOW」は口コミによるバイラル成長に繋がり、それがユーザーの高い評価に表れます。

2. 高い経済優位性

良いマーケットプレイスは、より儲かるユーザー体験を提供します。

FRILはサービスの検証段階で100人以上のユーザー候補の女性にインタビューを繰り返しましたが、「着なくなった服をどうするか」という課題に対して大抵の方は「捨てるか譲る」という選択をしていました。

次に多かったのは「古着屋に売る」という選択です。そして一部の方がmixiやブログを駆使して着なくなった服の売買をしていました。この最も大きな理由は「ほとんど着ていない服を古着屋に持っていっても二束三文でしか買い取って貰えない」という理由からでした。

現在、フリマアプリを利用しているユーザーなら分かると思いますが、古着屋で買い取ってもらうよりも遥かに高い金額で売ることができます。

3. 細分化されたニーズを持つ市場

良いマーケットプレイスは、売り手と買い手の細分化されたニーズを持っています。

FRILは「着なくなった服(着なかった服)を手軽に売りたい」「新品に近い古着を安く買いたい」といった欲求、言い換えると「売り手と買い手の細分化されたニーズ」を持つ市場から始まりました。(服や化粧品の種類やブランドはごまんとあります)

裾野が広く、小さなニッチ市場が数多く存在する市場では、売り手と買い手がお互いを探し合うために、マーケットプレイスの価値が発揮されます。ひとつひとつは小さなマーケットであり、繋がりが弱いことが逆にマッチングの価値を高めるということです。

そして、そのニーズに対して、出品者のほとんどがmixiやブログ、twitterといった売るためには貧弱なツールしか持っていませんでした。これはFRILのようなプラットフォームが業界に参入し、再構成するためのエントリーポイントとなりました。

4. 高い利用頻度

良いマーケットプレイスは、高い頻度で利用されます。

多くのマーケットプレイスは、購買頻度が低すぎる市場を狙って失敗しています。
これらの市場は、ブランド認知を築くことや、口コミによる顧客開拓の難易度が高まります。

FRILが初期にファッション衣類の売買に特化していたのは、売買のサイクルが生まれやすく購入頻度が高い市場を選んだためです。またユーザーを女性に絞ることで買い手が売り手にもなり、売り手が買い手にもなることを狙っていました。売上をポイントに交換して再購入する機能を実装したのもこのためです。

5. 新しい市場の拡大

良いマーケットプレイスは、十分な市場規模を持っています。

もしあなたがスタートアップの創業者であれば「君のビジネスの市場規模は?」と聞かれるのは初めてではないと思います。

正直に話すと「女性のファッション衣類のマーケットプレイス」というニッチでバーティカルな市場を選択した私たちは、ピッチ資料において(ヤフオクやモバオクと比較して)大きな市場規模を示すことはできませんでした。ただし、現在の市場規模がビジネス機会を正しく表現しているとは限りません。

女性のファッション衣類から始まったFRILは、すぐにハンドメイド作品が出品されるようになり、今となっては農家の方が農作物を出品してくれるようにもなりました。新しいマーケットプレイスには市場を効率化させるだけでなく、業界全体の市場を拡大し、新たな価値を創り出すことができるということです。

これはAirbnb Storyという本を読んで改めて実感しましたが、Airbnbの創業者も「カンファレンスの際に宿泊施設ではなく他人の家に泊まる」といったニッチなプロダクトがホテル業界を脅かすようになるとは想定していなかったでしょう。

ここに関しては最初から全てを理解した上で始めることは難しいと思うので、前出の4つを抑えるだけでも良いと思います。

まとめ

日本のフリマアプリは若い女性のファッション衣類といった、細分化され且つ高頻度なマーケット選択から始まりました。

ここに既存のプロダクトよりも10倍良いユーザー体験を提供できることができたことが成功の要因だったんではないかと思います。

マーケットプレイスを構築する上で、これらの5つの要素全てをカバーしている必要はないかもしれませんが、カバーしている要素が多いほどマーケットプレイスの構築は上手くいくのではないでしょうか。

このエントリーがこれからマーケットプレイス事業を考える人の一助になれば嬉しいです。

 

p.s

機運が高まれば死ぬほど泥臭かったフリマアプリのUI設計のユーザーインタビューやマーケットプレイスを離陸させるまでの鶏玉子問題をどう解決したかなどのエピソードも書こうと思います。
あと、気が向けば社内向けに公開している創業ストーリーなども。


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